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2.CIとブランディングの違い、IMCとの関係

企業のコーポレート・アイデンティティ(CI)を確立し、統一的で明確な企業メッセージを発信しようという試みが、80年代にアメリカを中心にブームとなりました。この方法自体は企業メッセージの統合という意味で、素晴らしい部分は多いのですが、同時に重大な欠陥を包含した手法です。その欠陥とは、企業がCIを確立するのは良いとして、それをマーケット・イン思考で確立しなければならないという発想が希薄であったことでしょう。

たいていの企業が、顧客から見た時の具体的な提供価値としての独自性を定義し、企業活動に落とし込むのではなく、自社の夢の姿としてCIを定義し、シンボルマーク化するお披露目イベントとして満足してしまいがちになることです。これでは、肝心の顧客に何も伝わるものはなく、単なる自己満足に終わってしまいます。しかし、シンボルマークの開発やCIの広告キャンペーンにより、大きくビジネスチャンスが見込める業者達がこぞってそこに目を付け、企業にどんどん顧客不在のCIを導入させました。後にCIに巨額の資金を使っても、一時的な盛り上がりがあるだけで企業業績が継続的に上昇するわけではないという世間の評価を作ることになってしまったことは残念です。

●CIからブランディングへ

90年代にドン・E・シュルツ教授らによって提唱されたIMC(=統合型マーケティング・コミュニケーション)は、こうした過ちを正そうとしたものです。

これはCIキャンペーンのように、抽象論と精神論をロゴマークとして統一するだけで終わらせるのではなく、次々と変化する消費者市場に対応し、顧客の視点から具体的なマーケティング戦略を立て、それらにすべてのマーケティング・コミュニケーションを統合する形で実施するという、企業業績を上昇させるための効果的なマーケティング・コミュニケーション戦略のあり方を問うものでした。

90年代後半には、ブランディングという概念が台頭してきます。ブランドという概念の利点は、今までなかなか立証することができなかった企業のマーケティング・コミュニケーションの成果を、ブランドの獲得という大きなビジネス上のメリットとして誰もが認識できるようになったことです。しかしながら、そのメリットをいかに測定するかということに人々の関心が偏りすぎ、その測定に血道を上げるだけに留まってしまうケースや、CI支援会社からブランディング支援会社へと名を変えただけの業者が、ブランディングを第2のビッグチャンスと捉えて、相変わらず欠点だらけのCIキャンペーンと同等の手法を展開してしまうケースなど、ブランディングもCIと同じように一時的なブームとして終わってしまうのではないかと懸念されています。

ブランドという概念をよく理解するということは、ブランドが企業経営にとって大変大きな価値を持つものであるという認識を可能にするだけではありません。ブランドは人々の経験によって顧客の心の中に形成されるものであり、本当に顧客の視点に立って自社を演出する意識を持たない限り、人の心の中にあるブランドをコントロールすることは非常に難しいという、マーケット・イン思考の重要性を実感するのに大変役立ちます。

したがって、コミュニケーションの統一の重要性を示したCI活動であれ、ビジネス上の重要性を示したブランディングであれ、それらを最も企業業績に連動させ効果的に実行に移すための具体的な手法としては、IMC(=統合型マーケティング・コミュニケーション)を実践できるかどうかにかかっていると言うことができるのです。